技術コラム
サマリウムコバルト磁石の加工・切断
本記事では、サマリウムコバルト磁石の特徴・用途から、近年需要が高まっている理由、そして加工・切断におけるポイントまで詳しく解説しております。
<目次>
- サマリウムコバルト磁石(サマコバ磁石)とは? 特徴と用途
- サマリウムコバルト磁石の加工・切断におけるポイント
- サマリウムコバルト磁石の加工事例
- サマリウムコバルト磁石の加工・切断・試作なら、当社まで!
サマリウムコバルト磁石(サマコバ磁石)とは? 特徴と用途
まずは、サマリウムコバルト磁石の特徴と用途についてご説明します。
サマリウムコバルト磁石とは?
サマリウムコバルト磁石(英:Samarium-Cobalt Magnet)は、コバルト(Co)と希土類元素のサマリウム(Sm)を主原料とする希土類磁石の一つで、永久磁石の中で最も磁力の強いネオジム磁石につぐ磁力を持っています。サマコバ磁石もしくはSmCo磁石と呼ばれることもあります。
>>永久磁石の種類や特徴、加工事例|ふつうの磁石や電磁石との違いについても解説
サマリウムコバルト磁石の特徴
ネオジム磁石が原料に鉄を含むことから耐食性・耐熱性が劣るのに対し、サマコバ磁石は耐食性・耐熱性に優れていて、キュリー温度が非常に高い(約700~800℃)という特徴をもちます。なお、キュリー温度(キュリー点)は物理学・物質科学において強磁性体が常磁性体に変化する転位温度のことで、言い換えると磁性が無くなるとされる温度のことです。ネオジム磁石のキュリー温度が330℃、フェライト磁石が500℃であるのを考えると、サマコバ磁石の耐熱性の高さがよく分かります。
その一方で、原料のコバルトが希少性の高いレアメタルであることからコストが高いという欠点もあります。
サマリウムコバルト磁石の用途
ネオジム磁石が80℃以下が使用条件であるのに対し、サマコバ磁石は腐食しやすい環境や最大350℃程度の高温環境でも減磁しにくいことから、センサーや医療機器部品をはじめ、電子レンジの真空管(マグネトロン)や自動車のモーター、イグニッション部品など幅広い用途があります。
サマリウムコバルト磁石の加工・切断におけるポイント
サマコバ磁石は、他の磁石に比べ機械的強度が低く脆性が高いため、加工中の欠け・割れに注意する必要があります。GC砥石(緑色炭化ケイ素系砥石)やWA砥石(白色アルミナ系砥石)といった通常の砥石では加工することができないため、ダイヤモンド砥石を使用して加工・切断を行います。
耐食性が低いネオジム磁石は加工・切断後にニッケルめっきなどの表面処理を施す必要がありますが、耐食性が高いサマコバ磁石は基本的に表面処理を必要としません(ただし、強度向上のためのめっきを施す場合はあります)。そのため、工程間や加工後における防錆対策が不要なため、保管コストは安く抑えられます。
サマリウムコバルト磁石の加工事例
当社のサマコバ磁石の加工事例をご紹介いたします。
①半導体製造装置用サマリウムコバルト磁石 凸型
こちらは、半導体製造装置に使用されるサマリウムコバルト磁石を高精度に加工した事例です。お客様から15×40×50のサマコバ磁石を支給いただき、凸型形状にするため平面研削を行いました。
②センサー用サマリウムコバルト磁石 円柱型
こちらは、センサー用サマリウムコバルト磁石を高精度に加工した事例です。お客様から15×40×50のサマリウムコバルト磁石を支給いただき、円柱形状に研削切断・円筒研削いたしました。
サマリウムコバルト磁石の加工・切断・試作なら、当社まで!
「磁石加工・切断センター.com」を運営する株式会社サンキコーは、磁石加工・磁性材料のプロフェッショナルとして、長年に渡り高品質・高精度の磁石加工を行ってきました。当社は、他社では断られるような特急案件にも迅速に対応できる生産体制、そして豊富な設備と実績に裏打ちされた高い技術力により、長年に渡りお客様に選ばれ続けています。
サマリウムコバルト磁石・ネオジム磁石などの磁性材料や磁石加工についてご相談や試作依頼のご要望等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。