技術コラム

フェライト・フェライト磁石の加工・切断

本記事では、フェライト磁石の原料であるフェライトの特徴・分類・用途から、加工・切断におけるポイントまで詳しく解説しております。

<目次>

  • フェライトとは?
  • フェライトの素材開発の歴史
  • 分子構造によるフェライトの分類
  • ソフトフェライトとハードフェライトの違い
  • フェライトの用途
  • フェライトの5つの特徴
  • フェライトと金属系磁性材料との違い
  • フェライト磁石の加工・切断におけるポイント
  • フェライト磁石の加工事例の紹介
  • フェライト磁石の加工・切断なら、当社まで!

 

フェライトとは?

フェライト(英:Ferrite)とは、酸化鉄を主成分としてコバルトやニッケル、マンガンなどを混合焼結したセラミックの磁性材料です。混合物の種類や配合率によって様々な種類があります。

 

フェライトの素材開発の歴史

フェライトの最も単純なものであり天然に存在するマグネタイト(磁鉄鉱)は、既に2,500年以上前には磁性をもつ材料であることが認識されていました。これが磁性と人類との出会いでした。

(参考:https://sts.kahaku.go.jp/diversity/document/system/pdf/051.pdf

フェライトの素材開発が大きく進んだのは、実は戦前日本です。1930(昭和5)年、東京工業大学の加藤与五郎博士と武井武博士がフェライトの前身であるOP磁石(磁鉄鉱と亜鉄酸コバルトの混合体)を開発しました。

その後、1937(昭和12)年にTDK株式会社(1935年創業)がフェライトの工業化(実用化)に成功し、同社の蒲田工場(東京・大田区)でソフトフェライト(詳細は後述)の生産を開始しました。

2009年には、電気・電子技術分野の世界最大の学会であるIEEE(電気・電子技術者協会)において、前述の東京工業大学とTDKの「フェライトの発明とその工業化」が、”電気・電子技術分野のノーベル賞”とも呼ばれるIEEEマイルストーンに認定されています。

 

分子構造によるフェライトの分類

フェライトは、その分子構造によってスピネルフェライト、六方晶フェライト、ガーネットフェライトという3つに分類されます。

スピネルフェライト

スピネルフェライトは、最も一般的なフェライトで、ほとんどがソフトフェライトです。スピネル型の結晶構造をもち、組成式はAFe₂O₄です(Aは、Mn、Co、Ni、Cu等)。電気抵抗が高く高周波領域での渦電流損失が小さいことから、高周波用のインダクターやトランスに利用されます。

六方晶フェライト(マグネトプランバイト型)

六方晶フェライトは、その名の通り六方晶型の結晶構造をもつフェライトで、組成式はAFe₁₂O₁₉(AはBa、Sr等)で、磁気異方性が大きく保磁力が高いためハードフェライトとして利用されることが多いです。

ガーネットフェライト

ガーネットフェライトは、ガーネット型の結晶構造をもつフェライトで、組成式はRFe₅O₁₂です。高周波領域での磁気損失が小さいため、マイクロ波用の磁性材料として利用されます。

 

ソフトフェライトとハードフェライトの違い

強磁性体は、磁性の違いによって硬磁性体と軟磁性体とに分けられ、フェライトの場合は前者がハードフェライト、後者はソフトフェライトと呼ばれます。

ハードフェライト

ハードフェライトは、磁化すれば永久磁石となるフェライトです。一般にフェライト磁石と呼ばれるものは、ハードフェライトに分類されます。主な用途としては、小型モーターやスピーカー、ヘッドフォン、その他電子記憶媒体などがあります。

ソフトフェライト

ソフトフェライトは、軟磁性のため磁界から離れると磁性を失います。コイルやトランスの磁心(コア)の材料として利用されます。家電やパソコン等が主な使用用途になります。

 

フェライトの用途

フェライトは、これまで述べてきたように永久磁石と電磁石という2種類の利用方法があります。

永久磁石として利用されるフェライト磁石(ハードフェライト)は、安価で量産に向いていることから家電やパソコン、ゲーム機、携帯電話などの精密機器にも使用されています。

ソフトフェライトは、コイルやトランスのコア(フェライトコア)として使用されます。また、電磁波を遮断する性質があるため電波暗箱や電波暗室などにも使用されるほか、ノイズを低減する特性もあるので通信機器や電子機器においても活躍しています。

 

フェライトの5つの特徴

フェライトの特徴を5つご紹介します。

①非常に硬く脆い

セラミックに属するフェライトは、硬度が高く脆い硬脆材料です。そのため取り扱いに注意する必要があります。

②安価で量産向き

フェライトは、製造コストが低く、量産が可能という点が特徴の一つです。但し、等方性フェライトに比べ磁力が強い異方性フェライトの場合は若干コストが高くなります。

③耐食性・耐薬品性が高い

セラミックの一種であり酸化物であるフェライトは、化学的に安定しており、腐食や有機溶剤への耐性が優れています。

④電気抵抗が大きく絶縁性が高い

フェライトは電気抵抗が大きく絶縁性が高いという特徴も持っています。この性質を活かしたのがIH調理器や炊飯器です。これらは、内部のコイルに高周波電流を流すことによって金属の鍋や窯を加熱していますが、コアが金属系の磁性材料だと発熱により大きな電力ロスが生じてしまいます。しかし、絶縁性が高いフェライトコアであれば、発熱が少ないため電力ロスを抑えることができます。

⑤高周波特性に優れている

前述の通り、フェライトは高周波電流を流した際の磁気損失や渦電流損失が小さいという性質、そしてノイズの発生を抑制する性質を兼ね備えています。そのため、スイッチング電源用のトランス(変圧器)やチョークコイルなどのインダクター、またノイズフィルタなどにも使用されています。

これらの他にも、製品の形状自由度が高い、耐寒性が低く-30℃を下回ると磁力が低下するため低温環境での使用には向きません。

 

フェライトと金属系磁性材料との違い

磁性材料には、フェライトのような酸化物磁性材料の他に、ネオジム磁石やサマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石などの金属系磁性材料もあります。両者の違いは何でしょうか。

まず、フェライトは、ネオジム磁石やサマリウムコバルト磁石(サマコバ磁石)のような希土類磁石よりも圧倒的に安価です。これはフェライトが酸化鉄を主成分としているためです。また、ネオジム磁石は耐食性・耐熱性が低いものの、フェライトは耐食性・耐熱性(耐熱温度300℃)に優れています。

なお、フェライト磁石の吸着力はネオジム磁石やサマコバ磁石には劣ります。

フェライト磁石 ネオジム磁石
コスト 安価 高価
耐食性 高い 低い
耐熱性 高い 低い

 

フェライト磁石の加工・切断におけるポイント

ここでは、ハードフェライトであるフェライト磁石の加工・切断におけるポイントについて解説します。

一番のポイントは、割れ・欠けが発生しやすいという点です。加工・保管・着磁の際は取り扱いに注意が必要です。硬度が高く脆いため切削加工ではなく、研削切断や研磨で加工を行います。

当社では、加工液を使用した湿式加工を行っているほか、加工中の割れ・欠けを防ぐために様々な対策を施しております。

 

フェライト磁石の加工事例の紹介

当社が過去に加工したフェライト磁石の事例をご紹介します。

事例①:モーター用フェライト磁石 角物

こちらは、自動車に使用されるモーター用のフェライト磁石を高精度に加工した事例です。お客様から100×50×10のフェライト磁石を支給いただき、四角形状にするため平面研削を行いました。

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事例②:工事現場仮止め用フェライト磁石 角物

こちらは、工事現場で使用される仮止め用のフェライト磁石を加工した事例です。お客様から150×75×10のフェライト磁石を支給いただき、四角形状にするため平面研削を行いました。

>>詳細はこちら

フェライト磁石の加工・切断なら、当社まで!

「磁石加工・切断センター.com」を運営する株式会社サンキコーは、磁石加工・磁性材料のプロフェッショナルとして、長年に渡り高品質・高精度の磁石加工を行ってきました。当社は、他社では断られるような特急案件にも迅速に対応できる生産体制、そして豊富な設備と実績に裏打ちされた高い技術力により、長年に渡りお客様に選ばれ続けています。

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