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永久磁石の種類、特徴、加工事例 ふつうの磁石・電磁石との違いについて

本コラムでは、永久磁石の種類や特徴について磁石加工のプロフェッショナルが解説いたします。また、永久磁石とそうでない磁石・電磁石との違いについてもご紹介いたします。

<目次>

  • 永久磁石とその特徴
  • 永久磁石の作り方
  • 永久磁石とふつうの磁石・電磁石の違い
  • 永久磁石の種類
    ①希土類磁石
    ②合金磁石
    ③フェライト磁石
  • 永久磁石の加工事例
  • 永久磁石の加工なら当社にお任せください

永久磁石とその特徴

まず、永久磁石(英:Permanent Magnet)の定義ですが、東京工業大学准教授(2022年現在)の合田義弘氏は、「永久磁石とは外部からエネルギーを加えることなく,自発的かつ定常的に磁場を外部に発生させる物体」*と定義しています。

少し分かりやすく言い換えると、外部から磁場や電流の供給を受けずに、磁性を長期間に亘って保持し続ける物体と言えます。これがまさに永久磁石の特徴です。また、永久磁石を粉砕しても、砕けた破片のそれぞれがまた新たなN極・S極を持ち、磁力を帯びます。

なお、永久磁石材料に関する日本産業規格(JIS)として「JIS C 2502」が、永久磁石の試験方法に関する規格として「JIS C 2501」がそれぞれ存在しています。

(*東京大学大学院 理学系研究科・理学部HP「永久磁石」より

 

永久磁石の作り方

次に、永久磁石の作り方についてご説明します。

意外かもしれませんが、実は永久磁石は、磁性体(磁性材料)を加工して製品形状を仕上げた段階では磁力を帯びていません。磁力を帯びさせるためには、電流を与えて磁化(着磁)させる必要があります。磁化とは、磁性体に外部磁場をかけることで、その磁性体が磁気的に分極し、磁石となる現象のことを指します。この時、永久磁石は外部磁場を取り除いた後も分極が残り、これを特に残留磁化(リマネント)と呼ぶこともあります。永久磁石の材料となる磁性体は、強磁性を示す物体(強磁性体)で、かつ常温での減磁が少ないものになります。

磁性体の中には、磁区とよばれる無数の小部屋(両極を備えた小さな磁石のイメージ)のようなものがあり、磁化する前の消磁状態では磁区の磁気モーメントの方向がバラバラであるため、互いに磁気モーメントを打ち消し合っています。そのため、磁性体自体は磁石にはなっていません。しかし、これに電流を流すことで内部の磁区が一定の方向を向くようになり、永久磁石となります。

永久磁石とふつうの磁石・電磁石の違い

磁石は、磁力を定常的に維持しているか否かによって2種類に分類することができます。

前者がこれまで説明してきた永久磁石で、後者が電磁石や磁化された時に一時的に磁石としての性質を持つが外部磁場から離れてしまうと磁力を失う軟鉄などです(総称して一時磁石と呼ぶこともあります)。電磁石は、磁性材料の周りにコイルを巻き、電流を流すことで一時的に磁力を発生させることができる磁石です。電流の向きや大きさによって、磁極の向きや磁力の大きさ等を変えることができる点が大きな特徴です。

 

永久磁石の種類

ここからは代表的な永久磁石をいくつかご紹介します。

①希土類磁石

希土類磁石(レアアースマグネット)とは、希土類元素を原料に製造される永久磁石のことで、非常に強力な磁力と高い保磁力が特徴です。希土類磁石には、ネオジム磁石やサマリウムコバルト磁石(サマコバ磁石)などがあります。ネオジム磁石は、永久磁石の中で最強の磁力を誇るものの、高温環境下での熱減磁に弱いというデメリットがあります。

②合金磁石

合金磁石は、鉄を主原料とし、数種類の金属材料を添加して合金にした磁石です。アルミニウムやニッケル、クロム、コバルトを添加することが多いです。比較的強力な磁力を持ち(フェライト磁石の2~3倍)、高温環境下でも磁力が安定する一方、保磁力が低いという欠点もあります。代表的な合金磁石に、アルミニウム、ニッケル、コバルトを原料とするアルニコ磁石やFe-Cr-Co磁石(鉄・クロム・コバルト磁石)があります。

③フェライト磁石

酸化鉄を主原料とするフェライト磁石は、低コストで最も汎用的に使用されている永久磁石です。磁力は弱いものの、保磁力、耐食性、耐摩耗性に優れています。

永久磁石の加工事例

当社が過去に行った永久磁石の加工事例をご紹介いたします。

加工事例①:産業モーター用ネオジム磁石 角物

こちらは、工作機械の産業モーター用部品を高精度かつ短納期に加工した事例です。お客様から20×50×60のネオジム磁石を支給いただき、角物形状に研削切断いたしました。

>>事例の詳細はこちら

永久磁石の加工なら当社にお任せください

「磁石加工・切断センター.com」を運営する株式会社サンキコーは、磁石加工・磁性材料のプロフェッショナルとして、長年に渡り高品質・高精度の磁石加工を行ってきました。他社では断られるような特急案件にも迅速に対応できる生産体制、そして豊富な設備と実績に裏打ちされた高い技術力により、長年に渡りお客様に選ばれ続けています。

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